第41章

詩織が目を開けると、九条蓮はまだそこに立っていた。

「怪我の具合は」と彼は身を屈め、声を意図的に低く抑えた。「どこか——」

「あの火事でも死ねなかったのに」詩織が遮った。声はひび割れていた。「今さら心配するふりをして、何が楽しいの」

九条蓮はすぐには口を開かなかった。

あの光景が脳裏によみがえる。煤けた休憩室の壁、焦げた匂い、消防士が運び出した担架。警戒線の外に立って、担架の上のシルエットを見た瞬間、指が骨の白くなるほど握り締められた。

あの恐怖は本物だった。

だが詩織には関係のないことだ。


「なぜ源氏に入社した」九条蓮が直截に切り出した。「源枢とは、何の関係だ」

詩...

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