第47章

深夜の病室は、井戸の底のように静まり返っていた。

 

廊下を通り過ぎるワゴンの車輪の音が、分厚い扉の向こうからくぐもって遠く聞こえるだけだ。

 

詩織はベッドのヘッドボードに寄りかかっていた。手元にはすっかり冷めた白湯のグラスが置かれているが、口をつけた形跡はない。

 

須藤礼は簡易ベッドで横向きになり、天井を見つめていた。

「今夜が過ぎたら、あと何日?」

 

「八日」

 

「よく数えてるね」

 

「毎日数えてるから」

詩織は淡々と答えた。「この八日を耐え抜けば、九条蓮とはもう一生関わらずに済む」

 

礼は少し黙り込み、ゆっくりと首を巡らせて彼女を見た。

「ずっとカウントダウンしてたの?」

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