第50章

詩織のスマートフォンの画面が、まだ光を放っていた。

 

須藤は詩織より早く動き、その手首をガシッと掴んだ。

「ちょっと待って」

 

「何」

 

「まだ出ないで」須藤は手を離し、ソファの背もたれに深く寄りかかった。「もう少し鳴らせておこう」

 

詩織は視線を落とした。LINEの着信を告げる振動が、一定のリズムで掌に伝わってくる。

 

玲子はすでにスマートフォンを置き、落ち着いた眼差しを向けていた。

「詩織、聞いて」

 

詩織は顔を上げた。

 

「源社長がわざわざ自分から連絡してきたのよ。気まぐれなはずがない」玲子は言った。「九条家が昨晩深夜に開いた記者会見、そして今日この電話——十中八九、プレス...

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