第51章

西園寺邸では晩餐会が開かれていた。融資の審査が下りなかったことなど、その場の誰一人として知る由もない。

 

西園寺夫人がグラスを掲げ、小百合子に向き直る。その声には媚びと優越感が入り混じっていた。

 

「今回は本当に、夫人のお力添えに感謝いたします。あの公式プレスリリースが出た途端、ネットの風向きがすっかり変わりましたわ」

 

小百合子は静かにグラスを合わせ、口角をわずかに上げた。

 

「当然のことをしたまでです」

 

「私たち夫婦が前に出ただけでは、あの娘は一歩も引こうとしませんでしたから」

 

西園寺夫人はグラスを置く。病室での対峙を思い出したのか、その口調には未だ消化しきれない不快感が滲...

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