第58章

薬の効き目は、詩織が予想していたよりも速かった。

詩織は意識の底から這い上がるようにして体を起こした。最初に感じたのは熱だった──体温ではない。皮膚の奥から染み出してくる、神経の先端を焼くような灼熱。何かが血液の中で燃えている。

彼女は肘をついて起き上がり、まず周囲を見渡した。

部屋は広くない。天井は低く、灯りは薄暗く、わざと抑えられたような曖昧な空気が漂っている。壁際には二台のカメラが設置されており、レンズはベッドの方を向いていた。赤いインジケーターが点灯している。床には注射器が散らばり、テーブルの上には何点かの品々が置かれている。彼女はそれらを一瞥し、胃の奥がひくりと動いた。

わかった。

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