第63章

西園寺琉璃は顔を上げ、九条蓮の腕にしがみついた。その目には揺るぎない勝利の色が満ちていた。

蓮の視線が琉璃を越え、詩織のほうへと流れる。

詩織はそこに立っていた。表情は穏やかで、まるで自分とはまったく関係のない出来事を眺めているようだった。

胸の奥で、焦りに似た何かがざわめく。蓮は琉璃の手を振り払おうとした。

「西園寺さん、離してください。」

琉璃は一瞬固まった。まさか人前でこんな仕打ちを受けるとは思っていなかったのだろう。たちまち目の縁が赤く染まり、睫毛が微かに震えた。みじめなほど、哀れな顔だった。

「蓮、あの女のためにこんなことをするの?」

蓮の顔色はすでに暗く沈んでいた。伸...

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