第68章

瞬間、宴会場は誰かが音を全て握りしめたように静まり返った。

源枢は詩織の半歩後ろに立ち、西園寺瑠璃へ静かな目を向けた。声を荒げない、言葉を急がない、ただそこに立っているだけ――しかしその存在感は、冷えた石が水に沈んだ時のように、さざ波を静かに四方へ押し広げた。

客たちがまず言葉を失った。

ひそひそ声が唇の前で凍りつき、近づこうとしていた数名の権力者が、踏み出しかけた足を無意識に引き戻した。隅で誰かが静かに息をのむと、隣の人間が肘で小突き、口をつぐむよう促した。

西園寺家の側では、空気が限界まで張り詰めた弦のようになっていた。

西園寺景深は手を半分上げたまま止めた。口は開かず、ただ目の...

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