第73章

結城玲子が電話に出て、声を落とした。

「詩織」

「状況はどう?」

玲子が体を傾け、廊下の弁護団に背を向けた。「三人とも取調室にいます。証拠はもう提出して、手続きは進んでいます」少し間を置いた。「九条家と西園寺家がそれぞれ弁護士チームを送り込んで、今廊下で対策を練ってます」

「わかりました」

その四文字だけ。語調は穏やかで、予想していた事実を確認するように。

玲子が携帯を握りしめた。「詩織、あなた――」

「玲子」詩織の声は急がず焦らず。「先にマンションに戻って待ってて」

「え?」

「一人で十数人を相手にするのは、今日が決戦の時じゃない。証拠を提出すれば十分。手続きは進む――先に...

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