第79章

投資部は二十四階にあった。

エレベーターのドアが閉まる瞬間、詩織は心の中でその件を完全に手放した。

楠木瑾也が明かした背景情報はすでに消化していた。白河澄花、源家に身を寄せ、源枢に特別な感情を抱いている——自分には関係のないことだ。源氏ホールディングスに来たのは仕事のため、離婚後にすべてを立て直すため、誰かの感情の縺れに巻き込まれるためではない。

エレベーターはゆっくりと上昇した。

詩織は俯いてスーツの襟を整え、鏡面から視線を外した。


二十四階の投資部は、想像より静かだった。

弧を描く大きな窓が壁一面に広がり、東京のスカイラインが朝の光の中に清々しく広がっていた。オフィス...

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