第9章
「どうしてあんたがここにいるの?」
瑠璃の声にはいつもの鋭さがあった。シャンパンゴールドのドレスが照明の下で冷たく光る。「こんなレベルのチャリティーガラに、アシスタントが来られると思ってるの?」
その視線が詩織の全身を這い、口元がわずかに上がる。「それとも、こっそり忍び込んだとか?……それとも、誰かのおじ様に連れられて?」
須藤礼が即座に身を乗り出した。
「おや?」その声は軽やかだが、刃が仕込まれている。「西園寺のお嬢様のその物言い、なかなか面白いわね――詩織は男の庇護なんて必要ないのよ。彼女自身が招待状に名前を連ねているんだから。」
彼女は手にした招待状をひらりと揺らした。「どなたかは、ただの同伴者としてしか出席できないのにね。誰の後ろ盾があるのか、皆さんお分かりでしょう?」
瑠璃の顔色が一瞬で変わった。
「あんた――」
「なにか間違ってる?」須藤礼は眉を上げ、その視線はまっすぐに瑠璃を捉えている。「それとも、お嬢様ご自身で証明してみる?」
周囲の数組の視線がこっそりと向けられている。瑠璃は手にした小さなバッグをぎゅっと握りしめ、指の関節が白くなり、目尻が赤く染まっている――次の瞬間にも何かを仕掛けそうな気配だった。
詩織はその場に立ち、口を開かなかった。
開く必要はなかった。須藤礼の言ったことはすべて事実であり、事実そのものが十分に鋭い。彼女はただ瑠璃を静かに見つめていた。久しぶりに何かが心の底から浮かび上がってくるのを感じながら――それは快感ではなく、疲れの果てにようやく訪れた一種の醒めのようなものだった。
彼女は同伴者として来た。その同伴者の名前は、私じゃない。
その事実が頭の中で一周し、着地した。何の波紋も起こさなかった。それ以前に、蓮が参加してきた数々のビジネスイベントやレセプション、パーティーで、隣にいたのはいつも瑠璃だったのだ。詩織はただそれと正しく結びついていなかっただけだ。あるいは、彼女はその場にいなかったから、結びつける必要がなかっただけだ。
自分はもうとっくに整理をつけたと思っていた。
しかし実際にここに立ち、瑠璃があの当然のような口調で問い詰めてくるのを目の当たりにして、彼女は気づいた――それは痛みではなく、奇妙な滑稽さだった。まるで一幕の芝居の結末を目の当たりにしているかのようだった。台詞はすでに暗記していた。結末はやはり馬鹿げていると感じられる。
その時、ホールの一角にふと小さな動揺が走った。
騒がしいわけではない。ただ、人々の重心が静かに移動し、低く交わされていた会話が一瞬途切れた――水面に何かが投げ込まれたかのように。
須藤礼が目をそちらに向け、すぐに詩織の腕を軽く引いた。
「詩織。」彼女は声を潜めた。「あっちを見て。」
詩織は振り返った。
入口で人々が自然に左右に分かれ、一筋の隙間ができた。
彼女が最初に捉えたのはその輪郭だった――背が高く、肩のラインがまっすぐで、濃色のスーツが寸分の狂いなく体に馴染んでいる。無駄な装飾は一切ないが、その服は最初からこの身体のために仕立てられたかのように見えた。あれだけ着飾った人々の中にあっても、彼は最も控えめでありながら、誰の視線も最初に彼に注がれるような、そんな存在だった。
詩織はその感覚を言葉にできなかった。彼の顔立ちが特別に優れているからではない――もちろん、その顔は確かに整っていた。眉骨は深く、輪郭は硬質で、瞳は沈んでいて、すべてを見ているようでありながら何も評価しようとしない。それは気質だった――人々の中に立つだけで、周囲の空気の密度を変えてしまうもの。誇示する必要もなく、言葉もいらない。ただその場に足を踏み入れるだけで、ホール全体の重心が動いてしまう。
それは、常に最も高い場所に立つことに慣れた者のみが持つ静けさだった。
「あれは――」詩織は微かに目を細めた。
「源枢よ。」須藤礼が続ける。その声には抑えきれない感慨が混じっている。「源氏財閥の当主。三年で家業の規模を二倍にした。こういう場にはほとんど姿を現さないのよ。」
彼女は詩織を一瞥した。「彼がここに来るってことは、今夜の会の格が違うってことだわ。」
詩織はすぐには答えなかった。
彼女の視線はその顔に留まったままだ。心のどこかで、何かがかすかに震えた。
――あの男だ。
廊下の逆光。肩にかけられたコートの重み。エレベーターの中で低く静かに響いた「大丈夫だ」。昏い意識の中、彼女はぼんやりとした輪郭だけを覚えていた。あの手の確かな力強さ。彼があそこに立っていたとき、周囲の者たちが浮かべた恐慌と退縮を。
詩織の呼吸が一拍止まった。
あの人だった。
彼女はずっと、源氏の傍系か、あるいは自分が正しく認識できていない財界人の一人だと思っていた。親切な他人――一期一会、互いに散っていくだけだと思っていた。まさか――
まさか、あのコートは源枢のものだったとは。
彼女は頭の中でその事実を再構成した。表情は平静を保ちながら、指先だけが無意識に強く握られた。
瑠璃のことはもう気にならなかった。
彼女は怒りをこらえ、バッグを握りしめながら、源枢に視線を一瞬向けた後、ホールの奥を探し、数人の男性と話している九条蓮を見つけ、足早にそちらへ向かった。
「蓮お兄様――」
声は潜められていたが、蓮の耳元に近づき、何かをささやいた。
九条蓮はわずかに眉をひそめ、無意識に入り口の方へ視線を走らせたが、何も捉えられなかった。何も言わず、彼はごく自然な仕草で、話していたサークルをホールの反対側へと導いた。
――須藤礼は詩織の手首を引いて、人の群れの端へと移動した。
「藤堂が向こうにいるわ。」彼女は顎で右側を示した。「話を付けられるって言ってた。」
藤堂光臣はシャンパングラスを手に、隅に立っていた。須藤礼が近づくのを見ると、表情が緩み、グラスを軽く掲げた。「礼、今夜も来てたのか。」
「おかげさまね。」須藤礼は遠慮なく言った。「光臣、前に話したあの友達なんだけど――」
「ああ。」彼は視線を詩織に向け、一瞥して軽くうなずいた。「浅宮さん?」
「はい。」
「ちょうどいい。」彼は何気なく言った。「源枢がこの後、すぐ隣の控え室に行く予定だ。案内できるよ。」
須藤礼は即座に彼の肩を叩いた。「さすがね、頼りになるわ。」
藤堂光臣は仕方なさそうに笑った。「叩くなよ、スーツが。」
数人は人の群れの端でしばらく待った。源枢がホールにいた時間は長くはなかった。軽く挨拶を交わし、名刺を二枚受け取り、すぐにサイドの通路へと向かった。藤堂光臣は適切なタイミングで二人を連れて追いかけ、通路の入り口で随行員を呼び止めて低く数語交わした。向こうが取り次ぎに行き、しばらくして戻り、道を空けた。
控え室のドアは少しだけ開いていた。
彼らが入ると、藤堂光臣が短く紹介した。源枢は窓際に立ち、振り返った。
詩織は初めて至近距離で彼の顔をしっかりと見た。
ホールで見たよりも深く、造形はよりくっきりとしている。眉と目の間には、何かを審査することに長く慣れた者の、しかしそれに容易に動かされることのない、ある種の無頓着な鋭さがあった。彼女の顔に視線が落ちた一瞬、詩織はふと思った――彼は自分を覚えているのだろうか?
彼女には読み取れなかった。彼の表情には何の変化もなかった。
数句の世辞を交わし、藤堂光臣と須藤礼は適切なタイミングで退出した。ドアが閉まった。
源枢はソファに腰を下ろし、テーブルの上に置かれたノートパソコンを開き、何かのファイルを処理し始めた。あたかも詩織がこの部屋にいないかのように。
詩織はその場に立ち、彼を見つめていた。
彼はそのまま座り、集中した表情で、右手がキーボードの上を動く。眉間がわずかに寄っていて、何かの数字を検討しているように見える。この男は銀座の廊下で彼女を救い、コートを肩にかけ、病院に送り届けた。そして今、チャリティーガラの控え室で仕事を処理している。その表情には「何か特別なことをした」という痕跡が微塵もない。
彼女には彼が読めなかった。
「言いたいことがあるなら、言えばいい。」彼は顔を上げず、淡々と言った。
詩織は思考を収め、口を開いた。「お食事をご馳走させていただきたいのです。」
源枢が手を止め、一瞬だけ顔を上げて彼女を見た。「そのために来たのか?」
「違います。」
彼女は一呼吸置き、話を整理した。「私の目的は、あなたの秘書のポジションに応募することです。ただ、今夜お目にかかって、あの日『華月』で私を助けてくださった方だと気づきました。」
彼女は軽く目を伏せた。「直接お礼を言いたかったんです。治療費とスーツ代は、きちんとお支払いします。もしよろしければ、連絡先をいただけませんか。」
源枢はノートパソコンを閉じた。
彼は彼女を見つめ、数秒の沈黙の後、言った。「君は秘書には向いていない。」
詩織はすぐには答えなかった。
彼の言い方はあまりにも平坦だった。拒絶でもなければ、侮辱でもない。ただの事実の陳述だ。
彼が何を根拠にそう判断したのかはわからないが、不思議と不快感はなかった。
「お邪魔しました。」彼女は静かに言った。「では――」
「連絡先が欲しいんじゃなかったのか。」
源枢の唇の端にかすかな笑みが浮かび、携帯電話を彼女の前に差し出した。
「これをスキャンしろ。」
詩織はうつむき、画面に表示されたQRコードを見て、一瞬呆けた。
彼が自ら連絡先を渡してくれるとは思わなかった。
彼女は携帯電話を取り出してスキャンした。「ありがとうございます。」
「支払いは不必要だ。」彼は携帯電話をしまい、淡々と言った。「食事は、連絡を待て。」
詩織はうなずいた。「わかりました。」
二人は控え室を出た。
詩織の注意はまだ先ほどのことに向いており、九条蓮がすぐそこに立っているのを見逃していた。
彼は瑠璃に連れられて顧客に会いに行き、引き返そうとしたところだった。たまたまこちらに目をやった。
視線が定まった瞬間、彼は固まった。
詩織?
彼女は友人と買い物に行くと言っていなかったか?
なぜここで男と一緒にいる?
彼女は自分を騙したのか?
その考えが頭をよぎった瞬間、九条蓮の顔色は青ざめ、彼は大股で二人に向かって歩き出した――。
