第100章

 足が、ぴたりと止まった。

 背中にまとわりつくような陰気な視線。神谷陸が、後ろから私を見ている。

 ……私が出て行こうとした瞬間に、もう気づいていたってこと?

「美月」

 神谷陸が、もう一度私の名を呼んだ。

 彼が近づいてくる気配がしたので、私はそのままダイニングの椅子に腰を下ろし、食事を始めた。

 今さら触れ合いたくない。だから、ひとまず無視する。

 私が扉へ向かわないのを確認したのか、背後の空気が少しだけ緩んだ気がした。

 目の前の料理を一つずつ確かめ、問題がないと分かってから、小さく口に運ぶ。

 彼のほうは見ない。まだそこに立っているのかどうかも、確かめたくなかった...

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