第27章

神谷陸は、こちらに向かって小さく頷いた。

「どう? 味、悪くないだろ」

――つまり、彼が作ったということだ。

私は薄く笑う。

「うん、おいしい。いつ覚えたの?」

私と一緒にいた頃の彼に、こんなことはできなかった。答えは分かりきっている。白石萌のために覚えたのだろう。

それを今さら私に向けてくるなんて、どうにも腑に落ちない。

神谷陸は手際よく食卓を片づけ、こちらへ歩み寄ってくる。

あまりにも自然な振る舞いに、胸の奥がかすかに軋んだ。

「ここにいても退屈だろ。テレビでも見てろよ」

そう言うなり、彼は勝手にテレビをつけ、ニュース番組に合わせた。

ちょうどその瞬間、画面には速報...

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