第106章

神谷陸が、私に対して持っている「一線」が、想像していたよりずっと甘いことに気づいてしまった。

……けれど、安心なんてできるはずがない。

だって今この瞬間、私はこの部屋に閉じ込められている。自由は奪われ、呼吸のひとつまで彼の掌の上だ。

私が乱暴に扱っても、神谷陸は不快そうな顔ひとつ見せなかった。

「美月、もう少しお利口にして」

ようやく彼は私から距離を取り、服の乱れをさっと整える。

それから立ち上がり、何でもないことのように言った。

「これからちょっと出る。何か食べたいもの、食材でいいからある? 帰りに買ってくる」

……出る?

神谷陸が、ここを?

その言葉に胸の奥がぱっと明...

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