第107章

  正直、腑に落ちないことばかりで、深く考えるのが怖かった。とにかく――一刻も早く逃げる。それだけを頭に叩き込む。

  どうであれ、ここから完全に抜け出せるなら、どんな手間だって払う価値がある。

  胸の奥を締めつけるような不安と、今この瞬間の妙な安堵。その落差があまりにもくっきりしていて、何かが起きるんじゃないかと身構えるほど、周囲は拍子抜けするくらい平穏だった。

  そして私は、本当にここを抜け出してしまった。人で溢れる大通りに立っている。

  いま神谷陸が目の前に現れて、無理やり連れ戻そうとしたって――そんなの、もう起こりようがない。

  あの場所から、私はあっさり逃げ切った...

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