第111章

長い沈黙が、かえって気まずさを増幅させた。私は数歩あとずさり、わざと明るい笑みを作って空気を切り替える。

「余計なこと言った。気にしないで」

一刻も早くここから離れたくて、軽い調子を装った。

「もう通報はしてあるし、新谷にも連絡した。……行こう」

距離を取ろうとした、その瞬間。

ぐい、と手首を掴まれた。

反射的に振り向くと、目が合う。一ノ瀬蓮は私をまっすぐ射抜くように見つめていて、その視線は今までのどれよりも熱かった。

「……どうした」

問いかけられて、喉が詰まる。

どうした、って――私の変化に気づいたの?

一ノ瀬蓮が、こんなふうに踏み込んでくる人だったっけ。

「別に、...

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