第32章

胸の奥で、どうしても動揺が収まらない。彼を見る目も、知らず知らずのうちに泳いでしまう。

蓮司の中では、私はきっと一ノ瀬家の当主と深い関係を持った末に子を宿した女――そういう認識のはずだ。

なのに彼は、あんなことをあっさり口にした。

まるで、何かを見透かされたみたいに。

蓮司は私の手からマウスを取り、画面を淡々と操作し始めた。

重要そうなファイルをいくつも開いて、中身を確認していく。

私は止めなかった。

以前、心の底から神谷陸を信じていた頃なら、こんなものを他人に見せるなんてあり得なかった。

けれど今の私にとって、それはもう何より大事なものじゃない。

むしろ――。

目の前の...

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