第34章

午前10時。私は約束の場所に、きっかり時間どおり着いた。

顔を上げたちょうどその時、神谷陸のベントレーが、ゆっくりとこちらへ滑り込んでくるのが見えた。

ドアが開く。最初に現れたのは、青白く、いかにも弱りきった顔だった。白石萌がこほこほと二度、咳をする。

私は眉をひそめ、ぴたりと寄り添う神谷陸へ視線を向けた。顔つきが自然と険しくなる。

「私のものは?」

まさか、白石萌まで連れてくるなんて。

私はすぐに二歩下がり、警戒して距離を取った。無理やり車に引きずり込まれないためだ。

そんな私の動きを見て、神谷陸は鼻で笑う。

「ずいぶん警戒心が強いんだな。だが、相沢美月。俺が物を返してやる...

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