第49章

神谷陸もよくまあ、そんなセリフを吐けたものだ。あまりの面の皮の厚さに、こっちが軽く引く。

受話器の向こうでは、秘書の声がどんどん切迫していく。

「どうしましょう、社長! 電話がひっきりなしで……解約したいって連絡ばかりです!」

「相沢美月! 今すぐ、いますぐだ。こっちに来い!」

神谷陸が怒鳴り散らしてきた瞬間、私は迷いなく通話を切った。

向こうはきっと大混乱。――狙いどおりだ。口元が勝手に持ち上がる。

そのとき初めて、ここがオフィスで、しかも他にも人がいることを思い出した。顔を上げると、視線の先に二人。

一ノ瀬蓮が眉を上げる。

「そんなに嬉しいのか?」

言われた途端、私は慌...

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