第53章

一ノ瀬蓮視点

 午後、俺は人をやって相沢美月の支度をさせた。

 夕刻が近づくころ、自分から彼女のもとへ向かった。

 ちょうど最後の仕上げの最中だった。

 カーテンがさらりと開く。

 薄桃色のマーメイドドレスをまとった女が、俺に向かってふわりと微笑んだ。

 相沢美月の化粧は濃すぎない。

 それでいて目鼻立ちの長所を寸分違わず引き立て、視線を奪って離さない。

「一ノ瀬様」

 裾をつまみ、彼女がこちらへ歩いてくる。

 慣れないヒールのせいか、どこかぎこちない。

 思わず手を伸ばし、その腰を抱き寄せた。

 細い体がそのまま俺に寄りかかる。

 宴の会場は郊外の屋敷だった。

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