第56章

長谷川毅の手が、私へ伸びてきた。

皺だらけの顔は笑いに引きつって、さっきよりいっそう下卑た感じが増している。

胸の奥がひゅっと沈む。避けるべきか――そう迷った、その瞬間だった。

私の前へ、骨ばった男の手がすっと差し入れられ、長谷川毅の手を真正面から遮った。

ドン――!

不意を突かれた長谷川毅は二歩よろめき、危うく体勢を崩しかける。

数秒遅れて何が起きたのか理解したのだろう。眉間にしわを寄せ、不機嫌さを隠そうともしない。

「なあ兄弟。協業の口をくれてやるって言ってんだ。満足だろ?」

私は一ノ瀬蓮を見た。

彼の纏う空気は、ひたすらに冷たい。長谷川毅もそれを感じ取ったのか、それ以...

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