第57章

「うわっ!」

耳元で苦痛に歪んだ叫び声が上がり、私はぞくりと肩を震わせて隣を見た。

さっきまで威圧するように立っていた、筋骨隆々のボディガードが二人とも床に転がっている。

そして――その二人を一瞬で沈めたのは、一ノ瀬蓮だった。

私は息を呑み、彼に視線を向けた。

当の本人は何事もなかったみたいに、ぱんぱん、と手を払うだけ。表情も変わらない。

「お、お前……俺の人間に手ェ出しやがったのか?」

長谷川毅は平静を保てず、震える指で一ノ瀬蓮を指した。何が起きたのか理解できていない――だからこそ、底知れないものを感じて怯えている。

私も正直、背筋が冷えた。

一ノ瀬蓮の身体能力が、ここま...

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