第63章

相沢美月視点。

一ノ瀬蓮の視線が、ずっと私に貼りついている。

あの深い瞳の奥に渦巻く感情が、はっきり見えてしまう。

それが何なのか、うまく言葉にできない。

ただ――危ない、と本能が告げていた。

「わ、私は……あなたと一緒に行ったら、きっと噂されます。社内であなたを見てる人、多すぎるし……迷惑をかけたくないんです」

一ノ瀬蓮は、私の説明を待つみたいに黙っていた。

だから私は、無理にでも口角を上げて言い切った。

「……何だ、それ」一ノ瀬蓮が眉をひそめる。「俺が、そんなもの気にするとでも?」

予想もしない返し。けれど、いちばん単純な答えだった。

一ノ瀬蓮が社内の噂なんて気にする...

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