第65章

けれど、感情は感情として――。

これだけの金額になれば、緊張しないほうが無理だ。

思わず口をついて出た。

「社長、いまのは30億の提携ですよ。一ノ瀬グループにとって利益は相当大きいはずです。それを、どうして私に全部任せるんですか?」

一ノ瀬グループみたいな一族にとって、利益が最優先なのは分かっている。いま目の前に、最大級の利益が転がっているのに。

一ノ瀬蓮は、どうしてそんなに平然としていられるのか。

私は彼に向かって手を振り、理解できない気持ちを強調した。

一ノ瀬蓮はふっと笑い、言った。

「なに。自信がないのか?」

その一言で、胸の奥に火がつく。

「ありますよ。私が能力を...

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