第78章

一ノ瀬蓮から「宴会に出る」と聞かされて以来、仕事中もどこか気が抜けなかった。

そしてようやく、その日の退勤間際に具体的な時間を告げられる。

宴会は明日。一ノ瀬蓮が直々に、私を連れて行くらしい。

「早く寝ろ。明日は千代がドレスを選びに連れていく」

それが一ノ瀬蓮の最後の言葉だった。私はベッドに横たわり、ゆっくりと眠りへ落ちていく。

明日――一ノ瀬蓮の隣に立ち、恋人のふりをする。

いざその時が近づくと、逆に緊張が込み上げてきた。

一ノ瀬家の人たちを前に、私はどんな態度でいればいいのだろう。

それに、お腹の子のことは……一ノ瀬家のほかの人間には、まだ秘密のはずだ。

翌日。

千代...

ログインして続きを読む