第79章

「一ノ瀬さん、こちらのお嬢さんは……?」

「前にお見かけしたことがありませんね」

「お傍に立てる方となると、よほど親しいご関係でしょう? もしかして、なにかおめでたいお話でも?」

数人がこちらへ寄ってくる。私を見る視線は相変わらず値踏みそのものなのに、一ノ瀬蓮に向ける口調だけは妙にへりくだっていて、露骨な差が鼻についた。

近づいてくる面々を眺めながら、胸の奥にどっと疲れが溜まる。

口にするのは上辺ばかり。聞いているだけでうんざりだ。

神谷陸は人の波に押しやられて外側にいた。割って入る勇気はないらしく、私と目が合うたび、必死に目配せしてくる。

眉が寄る。視線が多すぎなければ、即座...

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