第80章

周囲で会話を聞いていた連中が、いっせいに固まった。視線が、私たち数人のあいだを忙しなく行き来する。

川波正範という男は、一ノ瀬蓮でさえ一目置く相手だ。年上で、相当な立場の人間なのだろう。

その川波が、あんなにも友好的に神谷陸へ接している。――二人の関係がただならぬものだと、嫌でも分かる。

私は隣の一ノ瀬蓮を盗み見た。胸の内は、まったく読めない。

ここに来たのだって、私は一ノ瀬蓮を後ろ盾にするつもりだった。けれど相手の素性が特殊すぎて、どう立ち回ればいいのか判断がつかない。

「そうかい?」

川波正範が、今度は私を正面から見た。上から下まで、値踏みするように。

その視線が、たまらな...

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