第81章

神谷陸は顔色を変えた。それでも一歩も引かず、私を射抜くように睨みつけてくる。

「彼女? 冗談だろ」

彼は私の隣にいる一ノ瀬蓮へ視線を投げ、わざとらしく口元を歪めた。

「どうせお前の妄想じゃないのか。そいつ、まるで興味なさそうだし」

私は一ノ瀬蓮の腕にしがみつくように絡め、神谷陸を睨み返した。

「そういうの、いいから」

それから、蓮のほうへ身を寄せる。

「蓮、行こ。ここ、出よう」

わざと距離を詰めた。私たちが親密だと、見せつけるために。

神谷陸が何を考えているのかは知らない。けれど、遠慮なく私に絡んでくるその態度が気持ち悪い。

幸い、私の隣の一ノ瀬蓮にはさすがに警戒している...

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