第92章

ようやく自分のオフィスに戻ると、密閉された空間のおかげで、やっと息が抜けた。

碧山珠希は遠慮もなくソファに腰を下ろし、相変わらず真剣な顔で私を見つめてくる。

「ねえ、ちゃんと話してくれる? どうして蓮お兄ちゃんが、あなたにお金を出したの」

その言い方が可笑しくて、私はそのまま返した。

「つまり珠希さんの中では、一ノ瀬蓮って彼女にこんな大金、出さない人ってこと?」

一ノ瀬蓮は私に何かプレゼントをくれたわけじゃない。けれど、出すときは出す。周りにもケチな人じゃない。

なのに、どうして碧山珠希がここまでこの話にこだわるのか分からなかった。まるで「蓮お兄ちゃんはそんなことをする人じゃない...

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