第93章

本来ならすぐ仕事に戻るべきなのに、胸の奥がざわついて、どうしても落ち着けなかった。

しばらく葛藤した末、結局私は手を止め、部屋のドアまで歩いていく。外の気配をうかがうためだ。

一ノ瀬蓮は仕事中だ。さすがに、あの子をいつまでも中に置いておくはずがない。

それに、さっきの言い方はかなり素っ気なかった。適当な理由をつけて追い返すくらい、きっとするだろう。

そう考えれば考えるほど、逆に緊張が増していく。

やがて、ドアの向こうで物音がした。

頭で考えるより先に身体が動き、気づいた時には私はドアを引き開けていた。

目に飛び込んできたのは、涙でぐしゃぐしゃになった碧山珠希の顔。

彼女はわあ...

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