第99章

神谷陸は、相変わらずふざけている。神谷家にいた頃と同じで、傲慢で、強引で――自分の思いどおりにならないと気が済まない。

けれど、理解できなくもない。神谷陸みたいに、小さい頃から手のひらで大事に育てられた人間は、「苦しい」って何かを知らないのだろう。

私もそうだったから。

相沢家の一人娘として、生まれたときから欲しいものは何でも手に入った。理不尽に泣かされることも、我慢を強いられることも、ほとんどなかった。

世界が、私を中心に回っているみたいに。

――でも、相沢家が事故で崩れて、家が潰れた途端。

あれほど可愛がってくれた人たちは、嘘みたいに消えた。

落差はあまりにも大きくて、私は...

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