第5章

翌朝、私は鏡に映る自分を眺めていた。ぼさぼさの髪に、隈のできた目。頭の中は、答えのない疑問符で埋め尽くされている。

『試してみるしかない。二人きりじゃない時、彼がどう振る舞うかを見てみないと』

今夜、彼の会社で開かれる食事会は、そのための絶好の機会だ。彼の思考、彼の行動、そして他の誰かが見ている前で、彼が私をどう扱うか――そのすべてを、注意深く観察しよう。

「恵莉奈? 大丈夫か? 起きるの早いな」

瑛斗の声が、バスルームのドア越しに聞こえた。

「今夜が楽しみなだけ」

私は、努めて明るい声で返した。

『声の調子が違うな……まさか、怖気づいてるんじゃないだろうな……』

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