第290章 初めて君に応えられない

アネルは思案した。あのタイタン夫人の性根を知る限り、彼女なら本当にそのような暴挙に出かねない。

だが、やはりテリアンの身が案じられる。しばし考えた末、アネルはついに決断し、エリサに命じて数名の手勢をタケダ荘園の近辺へ向かわせることにした。もしもテリアン夫婦がタイタン夫人に難癖をつけられ、出立を阻まれたり、あるいはテリアンだけが理不尽な扱いを受けたりするようならば、アネルは直ちに救いの手を差し伸べるつもりだった。

一方、タケダ荘園。

メイフィストがようやくタイタン夫人をなだめすかした頃には、半開きの窓から月光が室内に滑り込んでいた。風邪を引かせぬよう侍女に窓を閉めさせ、メイフィストはベッ...

ログインして続きを読む