第291章 失望の始まり

メイフィストは虚を突かれたように固まった。テリアンからそんな問いが投げかけられるとは夢にも思っていなかったのだ。彼は呆然と妻を見つめ、しばしの沈黙の後、ようやく間抜けな声を漏らした。

「……あ。……たぶん、そうだろう」

なぜか唐突に、先刻の光景が脳裏をよぎった。母に対し、タイタン家を離れないと約束してしまったあの瞬間のことが。

テリアンと共にこの家を出たいという思いに偽りはなかった。出奔後の計画だって、あらかた立ててあったのだ。だが、母であるタイタン夫人が口を開いた途端、長年かけて刷り込まれた服従の習慣が鎌首をもたげ、メイフィストは無意識のうちにその要求を受け入れてしまっていた。

メ...

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