第70章 ヴェルリット家の宝剣

フリーデルはアネルの後ろ姿を見つめ、彼女が手にしていた剣の名を思い出し、思わず首を横に振った。

スコダ様、あなたはかつて彼女の成長を望んでおられたが、今やアネルはその全てを成し遂げましたぞ。

今や誰もが彼女を見て思うだろう。ヴェルリット家の娘は、大したものだと!

アネルは人々が空けた道を進み、ぐつぐつと煮える鍋のそばまで来た。鼻先に温かい食事の香りが届くと、ようやくその目元が和らいだ。

周りの兵士たちは顔を見合わせるばかりで、誰も彼女に話しかけようとはしない。

特に、フリーデルからヴェルリット家に伝わる二振りの宝剣の一方が目の前にいると聞き、興奮のあまり言葉も出ないようだ...

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