第72章 選択

翌日、アネルは腫れぼったい目で起き上がった。他の四人もよく眠れなかったようで、皆ひどく目を赤くしている。幸い、戦場ではまともに顔を洗う機会などほとんどなく、誰もが薄汚れた姿をしていた。彼女はさらに泥を顔に塗りつけたので、ますます誰にも気づかれなくなった。

シンシアがぷっと吹き出した。「泥んこの子猫ちゃんね」

五人はそう言って笑い合った。

その時、天幕の外で足音が遠くから近づいてきて、やがて天幕の入り口で止まった。

「フリーデル様より伝言です。最新の軍事情報につき、至急、様の天幕にて合議に参加されたし、とのこと」

アネルはすぐさま応じ、仲間たちの方を向いて小声で言った。「あ...

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