第7章

 地下駐車場。剛はフン、と鼻を鳴らし、口元の血を舌で拭った。

「上等だ、里香」

 奴は私の腹をじろりと睨み、嘲りの色を浮かべる。

「俺の子を孕んだまま、いつまでその虚勢が続くかな! どうせすぐに、泣いて土下座して縋り付いてくるのがオチだぞ」

 私はバッグから四つ折りにした書面を取り出した。何か言おうとした矢先、剛の手が伸びてきて、それをひったくられる。

「離婚届まで用意してやがったか」

 奴は書面のレイアウトを一瞥しただけで、中身もろくに確認せず、スーツのポケットから万年筆を取り出した。

「いいだろう。里香、後悔するなよ!」

 剛は車のボンネットに屈み込んで署名すると、傍らに...

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