第5章

「今すぐ彼に電話しなさい」私は滑らかに命じた。声から感情をきれいに削ぎ落とす。

「取り乱して。私が浴室の窓を叩き割ったけど、敷地の外へは逃げられなかったって言うの。ワインセラーに閉じ込められてる、と」

 彰人は眉をひそめ、根っこにある被害妄想がちらりと顔を出した。

「なんでワインセラーなんだ?」

「二フィートの分厚いコンクリートで覆われてるからよ」私は間髪入れずに答える。

「電波の死角。無線も圏外。あなたの告白ぜんぶを、私のスマホで音声録音してあるって伝えなさい。でもコンクリートのせいで、データがクラウドに上げられない、と」

 彰人はその嘘を飲み込むのに息を詰めた。

「それから...

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