第25章 何の遠慮もない

新垣洋子の妨害がなくなり、石川明美はようやく安心してプロジェクトを完成させることができるようになった。プロジェクトさえ完成すれば田中グループを離れることができる。石川明美はそれを考えるだけでわくわくした。

やがて、プロジェクトは調整段階に入り、石川明美は胸を躍らせた。待ち望んでいた自由が目前に迫っているかのようだった。しかし、興奮の中にも、心の奥底には何となく名残惜しい気持ちがうっすらと浮かんでいた。

ところが、テスト運用中にプロジェクトにバグが発生した。石川明美は眉をひそめ、何度も繰り返し調整を試みたが、解決には至らなかった。

やむを得ず、彼女は山田健一が残していた電話番号を思い出し...

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