第28章 心の港

今日、研究所にていじめられたが、石川明美は涙を流さなかった。研究所を出ると、救世主のように現れた佐藤俊介を見て、石川明美はまたも涙を流さなかった。しかし、田中尋が言った言葉を考えると、ますます辛くなった。車を運転しながら涙を流す石川明美は、自分がどれほど辛いか感じた。田中グループのためだけに、こんな遠い場所まで色魔のいじめを受けることになるとは、考えもしなかった。田中尋は自分を心配したことがないのか?当然、新垣洋子だけを心配するのだろう。石川明美は頭を振り、涙が目を曇らせないようにし、拭うほどに涙が増え、周囲の車の流れを見ながら、時々ぶつけてしまいたいと本気で思ったが、母や弟がいるから…。

...

ログインして続きを読む