第3章 城南?古城

山田清香が振り向くと、最初に目に入ったのは田中尋ではなく、駆け寄ってきた新垣洋子だった。

「おばさん、久しぶり」

新垣洋子は山田清香の胸に飛び込んだ。

山田清香は目尻を下げて微笑んだ。「あら、洋子ちゃんじゃない。どうしてこんなに長い間、うちに遊びに来なかったの?よく見せてごらん。やっぱり、ますます綺麗になったわね」

「おばさん、これはおばさんとお姉さんへのプレゼントです」新垣洋子は手に持っていた綺麗な袋を差し出した。中には手作りクッキーが2箱入っていた。彼女は恥ずかしそうに言った。「まだ仕事を始めたばかりで、給料も出てないんです。これは朝早く起きて自分で作ったクッキーなんです。気に入...

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