第33章 子宮がない

都城の夏、炎熱は相変わらず。

都城の老人たちは伝統的な生活様式を守り、エアコンを好まない。彼らの多くは和風の家に住み、庭の井戸は夏の暑さをしのぐ貴重な存在だ。夏には、甘くておいしいスイカを買って、かごに吊るして井戸に入れ、耐え難い暑さの時に引き上げる。家族が集まって一緒に分かち合うその時間は、一日の中で最も心地よい瞬間だ。

中島おばあさんはいつものように、井戸から冷やしたスイカを持ち、満足げな笑顔で自宅の医院に向かった。

中島家の診療所は都城で長年営業しており、かつては賑わっていた。しかし、都市の発展とともに、周囲には高層ビルが林立し、中島家の診療所は当時の撤去を拒んだため、今ではやや...

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