第44章 一から始める

福泉おばさんは「ふんふん」と二度唸り、「性格が悪いな、あなたにあるあだ名をつけようと思っていたんだけど、じゃあ、あなたを『臭い口さん』って呼んでもいいかしら?」やはり、この世界でどんな凶悪な人でもおばさんの一言には勝てない。

「私の姓は田中よ」田中尋がいらいらして言った。

福泉おばさんは満足そうに頷いた。「まあまあ、若い人は礼儀を持つべきよ。明美ちゃんは普段喧嘩する時老若男女をわきまえないけど、喧嘩しない時は礼儀正しいわよ」

「あなたは明美の友達?」福泉おばさんのゴシップ好きな目を見て、田中尋の青筋が浮かび上がる。彼は石川明美の行方を知りたいだけで、おばさんと彼女のプライバシーを話すつ...

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