第52章 田中尋の奇妙な操作

国松曇は顔をそむけ、見なかったふりをした。彼は僅かに眉をひそめ、目には少し厭わしさが浮かんでいた。国松曇はクラブの社長ではあるが、こういった女性たちに全く興味を持てなかった。彼が最も好きなのは酒を飲むことと拳闘だ。普段なら彼はバーにいるか、拳闘ジムにいるかのどちらかで、決して女の寝床で見つかることはない。

彼は女というものは大抵面倒だと思っていた。特に新垣洋子のような腹黒い女は、なおさら避けたいと思っていた。彼は再び酒杯を手に取り、一口そっと啜ると、静かに脇に座り、まるで周りの騒がしさとは無関係であるかのようだった。

上水恭は田中尋の隣に座った。「さっきまだ言ってなかったけど、石川明美は...

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