第6章 石川明美のこと、好きとかはやめろ!

田中尋は気を失った石川明美を抱き上げ、車を自ら運転して病院に急行した。

一人でクラブの入り口に立つ新垣洋子は、歯を食いしばっていた。

ちょうど、佐藤俊介もクラブから出てきた。

「なんでお前だけ?君の田中兄さんはどこだ?」

「ビッチを病院に送ったんだ」新垣洋子は小さな声でつぶやいた。

「なに?」

新垣洋子は目を回し、「明美姉さんが突然倒れたから、田中兄さんに病院に連れて行ってもらった。俊介兄さん、車が捕まらなくて、送ってくれないか?心配でたまらないの」

佐藤俊介は新垣洋子の心の中を見透かしていたが、石川明美のことも心配していた。

「車に乗れ」

病院の廊下では、田中尋が不安げに...

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