第7章 私の同意なしに、どこにも行けない

病院で一日休んだ後、翌日、石川明美は普通に会社へ出勤し始めた。

しかし会社に入るなり、石川明美は周囲の異常を感じ取った。

「聞いた?一昨日あの契約が取れたんだって。契約するだけじゃなくて、相手が5%も値引きしたらしいよ」

「あの取引先って有名な遊び男で、手を出した同業者は数え切れないほどいるって聞いてるよ。しかも、かなりケチだって言われてるのに、今回はどうして…」

同僚たちが集まって、小声でひそひそと話していた。

「あなたたち、今回うちの会社が誰を派遣したか考えてみなさいよ。明美姉さんが落とせない取引先なんてあるの?」新垣洋子が石川明美にわざとらしくお世辞を言った。

「でも、明美...

ログインして続きを読む