第111章 彼は子供のおじさん

伊沢赤司は薬を飲み、水の入ったコップを坂東執事に手渡した。脇で心配そうに座る伊沢婆さんを見やると、坂東執事に言う。

「婆さんを連れて、先に帰ってくれ」

「私は大丈夫でございます。まもなく坂東補佐も参りますので」

この二年、伊沢婆さんは体調が思わしくない。伊沢赤司は病院に長居させて、無駄に気力を削らせたくなかった。

伊沢婆さんも赤司の意図は分かっている。病院に残るとは言い張らなかった。

「分かったよ」

綾部栞もJXにいる。しかも伊沢赤司の主治医だ。きっと問題はない――そう思い、伊沢婆さんは帰ることにした。

伊沢婆さんが病院を出る際、綾部栞のオフィスの前を通りかかる。

救急科の医...

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