第114章 彼はますます痛くなった

翌日、10時。

伊沢赤司はきっかり時間どおり、科の外来に姿を現した。

綾部栞は小さな手術を終えたばかりで、オフィスへ戻るなり、冷えた顔で椅子に腰掛けている伊沢赤司を目にした。

昨夜はろくに眠れていなかったのだろう。目の周りに、うっすらと隈が浮いている。

綾部栞は検査のオーダーを出し、そのまま彼に付き添って検査室へ向かった。

検査が始まり、綾部栞が身を寄せると、白衣にまとった淡い香りが伊沢赤司の鼻先をくすぐった。

苦しいはずの検査なのに、胸の奥が不思議と落ち着く。彼は無意識に、綾部栞の服の裾をきゅっと掴んでいた。栞はそれを振りほどきもせず、モニターを見つめたまま眉をわずかに寄せる。...

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