第118章 舞踏会の最初のダンス、伊沢赤司は誰と一緒にするのだろうか?

太田おばさんは栞が戻ってきたのを見ると、すぐに台所へ引っ込み、綾部父の手伝いに回った。

綾部栞は妃奈ちゃんを抱いたまま、伊沢赤司の向かいの席に腰を下ろす。

その瞬間だった。栞の腕の中にいた妃奈ちゃんが、ぱちっと目を見開き、小さな足でぴょんと飛び降りたかと思うと、テーブルの上のミカンをひとつ掴んだ。そして短い腕を伸ばし、伊沢赤司へ差し出す。

「おじさん、むいて」

栞は眉をわずかに跳ね上げた。まだ二度しか会っていない相手に、ずいぶん遠慮がない。

「こら、妃奈――」

そう言ってミカンを取り上げ、自分でむいてやろうとした、その前に。

伊沢赤司があっさり受け取っていた。

「いいよ」

...

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