第126章 彼の声はひどくしゃがれている

布川陸と五島文士は、北条清森の視線の先を追った。そこには、険しい表情の伊沢赤司が、足音も冷たく入ってくるところだった。

「『落とせない』って?」

低い声で問う。

布川陸も五島文士も答えない。伊沢赤司の機嫌が良くないことくらい、見れば分かる。

北条清森と伊沢赤司は幼い頃からの付き合いで、六人の中でもいちばん仲がいい。だから清森は遠慮もなく、笑って言った。

「そりゃ、お前が綾部栞を落とせないって話だよ」

さっきまでわずかに和らいでいた伊沢赤司の顔が、瞬時に沈む。

彼は冷えた顔のまま自分の席へ行き、どさりと腰を下ろした。

布川陸と五島文士は、息をするのも怖い。

伊沢赤司は反論しな...

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