第133章 安心感

綾部栞が助手席に腰を下ろすと、庭先で妃奈ちゃんと綾部父がこちらに向かって手を振っていた。栞は窓を下ろし、笑って手を振り返す。

妃奈ちゃんは小さな手でちゅっ、ちゅっと投げキッスをいくつも飛ばし、綾部栞もそれに合わせて同じように返した。

伊沢赤司は、栞の眉間に宿る柔らかさを横目で捉え、思わず視線を重ねる。綾部父が妃奈ちゃんを抱き上げて家の中へ入っていくのを見届けてから、ようやくエンジンをかけた。

車はゆっくりと綾部家を離れ――門の前で、ふいに止まった。

綾部栞は首をかしげ、伊沢赤司を見る。

「え……な……」

言い切る前に、運転席の男が半身をこちらへ傾けてきた。

栞の身体がびくりと硬...

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